病院で問診や検査を行い、大きな病気の心配がなければ、日常の生活指導や患者さんに合った便秘薬を使って治療していきます。
便秘薬を使用する場合、初めは作用の弱いものから使っていき、しばらくしても効果が得られなかった場合は、作用の強い薬への変更や服用量を調節しながら様子をみます。
今回は病院で処方される便秘薬について説明しますね。
知りたかった!!!
病院で処方される主な便秘薬の種類
塩類下剤 | 刺激性下剤 | |
---|---|---|
作用や特徴 | 大腸が水分の吸収を抑えるため、便の水分を保持し、軟らかい便がつくられる。 | 大腸の粘膜に刺激を与えることで、ぜん動運動を促す作用がある。 |
注意すること | 腎不全の方の服用は禁止されている。 | 即効性があため、長く使用していると効果を感じにくくなる。 |
薬物療法の場合、最初に使われる薬としてもっともふさわしいのが「塩類下剤」です。
塩類下剤は、便の水分を増やして便を軟らかくする作用があり、排便しやすくなるのが特徴です。
長期に渡って服用を続けていても、副作用の心配が少ないので安心して使うことができます。
※気をつけたいのは、塩類下剤はマグネシウムの血中濃度が高くなるので、
腎臓の機能が低下している方の服用は禁止されているということです。
塩類下剤だけではあまり効果を感じなかった場合は、
大腸を刺激してぜん動運動活発の作用がある「刺激性下剤」が使われます。
過敏性証症候群などのストレス性便秘には、「消化管運動機能調整薬」や「便形状改善薬」が使われます。
消化管運動機能調整薬は、腸内のセロトニンの分泌量を調節して、自律神経を安定させます。
便形状改善薬は、食物繊維のような働きをしているので、便のかさや量を増やして便の形を整えてくれます。
不安やうつ症状が強い方には、「抗うつ薬」や「抗不安薬」が使われます。
腸内に溜まり続けた便が硬くなると、どんなに強くいきんでも排出させるのが困難になってしまいます。
ひどくなると「どうしても便が出なくてお腹が苦しい!!」と、救急車で病院に運ばれてくる方も多いようです。
このような場合は浣腸で排便するか、医師が手袋をはめた指で直接便を搔き出すといった方法があります。
生活習慣を改めることが治療の第一歩
便秘が重症化してしまった場合は、薬を使って徐々に症状を改善していくことになりますが、
便秘の改善には生活習慣の見直しが基本です。
便秘解消に役立つ生活内容
- 質のよい睡眠を心がける。
- 3食きちんと食べる。
- 適度な運動を取り入れて腸を動かす。
- 便秘に必要な栄養素を積極的に摂る。
- 朝はコップ一杯の水を飲んで、腸に刺激を与える。
- トイレに入る時間を決めて、排便リズムを身につける。
- リラックスできる時間をつくり、ストレスを溜めない。
- 便意を我慢しない。
体をコントロールしている自律神経には、緊張・興奮している時や活動時に働く交感神経と、
睡眠中やリラックス時に働く副交感神経があります。
内臓は交感神経が優位な時に活発になりますが、
反対に胃腸などの消化器官は、交感神経が優位な時に活発な状態になっています。
【トイレのタイミングを逃すと便意が消えるのはどうして?】
便意を感じるのは、便が直腸に到達した刺激が大脳に伝わるために起こります。
このタイミングでトイレに行き排便することが理想ですが、
我慢してトイレに行かないでいると次第に便意は消失してしまいます。
時間が経ってトイレに入った頃には、便意もなくなっているのでなかなか便が出てきません。
これは直腸に下りてきた便が直腸より上に戻ってしまい、肛門の筋肉も収縮してしまうためです。
さらに、便は腸内にとどまることにより水分が奪われて硬い便になり、便秘を助長します。
また、「便意があるのに排便しない」ということをくり返していると、便が直腸に与える刺激に慣れてしまい、便意を感じにくくなる直腸性便秘の原因になるので気をつけましょう。
参考:「セルフドクター」より一部引用
また、睡眠中などリラックスしている時は、まさに副交感神経が活動的になっているので、
便を作り出すのに最適な時間となっています。
夜更かしをしたり睡眠不足の状態では、副交感神経の働きを妨げてしまうことになり、
思うように便を作ることができません。
このような生活内容も、便秘を招く原因と言えるでしょう。
規則正しい生活を送り、それでも便秘の症状に変化がなかった場合は、薬を使った治療が検討されます。
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