「オリーブオイルを飲むと便が滑って出やすくなる」と紹介されることがあります。便秘症状の改善を報告した研究はありますが、対象者や期間が限られ、すべての便秘に有効な標準治療として確立しているわけではありません。
油を薬のように飲むのではなく、普段の食事に使う脂質の一つとして適量を取り入れるのが基本です。
この記事の要点
- オリーブオイルで便秘症状が改善した小規模研究はあります。
- 研究結果だけから、全員に同じ量を勧めることはできません。
- 大量に飲むと、腹痛、下痢、吐き気、エネルギー過多につながります。
- 便秘対策は食物繊維、食事全体、排便習慣、必要な治療と組み合わせます。
オリーブオイルで便が「滑る」は正確?
食用のオリーブオイルが、そのまま便の表面をコーティングして機械的に滑らせる、と単純に説明するのは正確ではありません。摂取した脂質の多くは小腸で消化・吸収されます。
脂質を含む食事は消化管の運動や胆汁分泌などに関係しますが、反応には個人差があります。オリーブオイルを飲めばすぐ排便できるとは限りません。
オリーブオイルと便秘の研究結果
血液透析患者を対象にした2015年の試験
便秘のある血液透析患者を対象に、オリーブオイル、亜麻仁油、流動パラフィンを4週間比較した小規模試験では、オリーブオイル群で便秘症状の改善が報告されました。
ただし、対象は血液透析を受けている患者であり、一般の慢性便秘へそのまま当てはめることはできません。
2025年の無作為化比較試験
便秘のある成人を対象に、エキストラバージンオリーブオイルと精製オリーブオイルを比較した試験が2025年に発表され、症状の改善が報告されました。
一方、単一の研究だけで一般的な推奨を決めることはできません。便秘の原因、普段の食事、使用量、研究期間が異なる人でも同じ効果が出るかは、さらに検討が必要です。
エキストラバージンなら効果が高い?
エキストラバージンオリーブオイルは精製度が低く、ポリフェノールなどを含みます。しかし、「エキストラバージンなら便秘が治る」「高価な製品ほど効く」とは言えません。
便秘対策のためだけに特別な製品へ変更するのではなく、風味、用途、価格、保存方法を含めて日常の油として選びます。
オリーブオイルを飲む量は?
便秘改善を目的とした、全員共通の推奨量は決まっていません。研究で使われた量を自己判断で再現したり、スプーン何杯も飲んだりしないでください。
油は少量でもエネルギーが高いため、追加する場合は「今の食事へ上乗せ」ではなく、ドレッシングや調理油など既存の脂質の一部と置き換える考え方が適しています。
食事へ取り入れる方法
- 野菜や豆を使った料理のドレッシングに使う
- 魚や肉、きのこの加熱調理へ使う
- パンへ少量つけ、ほかの脂質とのバランスを取る
- スープや煮込み料理の仕上げに少量加える
オリーブオイル単独では食物繊維を取れません。野菜、豆類、全粒穀物などと組み合わせることで、食事全体を整えやすくなります。
オリーブオイルを大量に取るリスク
下痢・腹痛・吐き気
一度に多く取ると、消化器症状が出ることがあります。飲んだ後に痛み、吐き気、下痢が出る場合は中止します。
エネルギー過多
油は1gあたり約9kcalあり、大さじ1杯でもおよそ100kcal前後になります。健康に良いとされる油でも、量が多ければ総摂取エネルギーが増えます。
胆のう・膵臓などの病気
脂質制限を指示されている人、胆石・胆のう炎・膵炎などの既往がある人は、自己判断で摂取量を増やさず担当医へ確認してください。
オリーブオイルだけに頼らない便秘対策
便秘の食事では、まず食物繊維をさまざまな食品から少しずつ取ること、脱水を避けること、規則的に食べることが基本です。
詳しくは便秘におすすめの食べ物と食物繊維をご覧ください。
- 朝食後など腸が動きやすい時間にトイレへ行く
- 便意を我慢しない
- 無理のない範囲で身体活動を増やす
- 長時間強くいき続けない
- 必要なら医師・薬剤師と便秘薬を調整する
食事で改善しにくい便秘もある
便秘の原因には、腸の動き、薬、病気、排便時の骨盤底筋の動きなどがあります。「便意はあるのに出口で詰まる」「指で便を出す」といった場合、オリーブオイルや食物繊維を増やしても改善しないことがあります。
便秘のタイプは便秘の種類と原因で解説しています。
受診を優先したい症状
- 血便、黒い便、肛門からの出血
- 強い、または続く腹痛
- 嘔吐、発熱、急な腹部膨満
- 便もガスも出ない
- 意図しない体重減少や貧血
- 食事を変えても便秘が長く続く
これらの症状がある場合は、油を飲んで様子を見ず医療機関へ相談してください。
よくある質問
朝、空腹時に飲むとよいですか?
空腹時に飲めば便秘へ特に有効という確立した根拠はありません。吐き気や胃もたれが出る場合もあるため、薬のように飲む必要はありません。
加熱すると便秘への効果がなくなりますか?
そもそも便秘への効果を保証できないため、加熱・非加熱で治療効果を比較することはできません。料理の用途に合わせて使ってください。
毎日飲んでもよいですか?
普段の食事に適量使うことと、便秘対策として追加で毎日飲むことは異なります。体重管理や脂質制限が必要な人は医療者へ相談します。
便秘薬の代わりになりますか?
必要な治療の代わりにはなりません。食事で改善しない場合は、便秘薬の種類と選び方も確認し、医師・薬剤師へ相談してください。
まとめ
オリーブオイルで便秘症状の改善を報告した研究はありますが、対象や期間は限られ、全員に同じ効果があるとは言えません。便秘対策として大量に飲むのではなく、普段の調理油の一つとして適量を使いましょう。便秘が続く場合や警告症状がある場合は、食事だけで対処せず受診してください。
参考文献
- Joukar F, et al. Extra virgin versus refined olive oil for constipation. 2025.
- Ramos CI, et al. Olive oil and flaxseed oil for constipation in hemodialysis patients. 2015.
- NIDDK「Eating, Diet, & Nutrition for Constipation」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
最終確認:2026年8月9日。本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の栄養指導や診断・治療の代わりになるものではありません。


