便秘で病院へ行きたいものの、「内科でよいのか」「肛門科へ行くべきか」と迷う人は少なくありません。迷ったときの最初の相談先は、内科または消化器内科です。
ただし、肛門の痛み・出血、腟のふくらみ、子どもの便秘など、症状や年齢によって適した診療科が変わります。
受診先の早見表
- 原因が分からない、便秘が続く:内科・消化器内科
- 肛門の痛み、出血、出口で詰まる:肛門科・大腸肛門外科
- 腟のふくらみ、出産後の排便困難:婦人科・ウロギネコロジー
- 子どもの便秘:小児科・小児消化器科
- 強い腹痛、嘔吐、急な膨満、便もガスも出ない:救急外来
迷ったら内科・消化器内科へ
便秘が続く、急に便通が変わった、市販薬で改善しないといった場合は、内科または消化器内科へ相談します。かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談しても構いません。
問診と診察を行い、必要に応じて血液検査、便検査、大腸内視鏡検査などを検討します。専門的な排便機能検査が必要なら、便秘外来や大腸肛門外科などへ紹介されます。
症状別に見る適した診療科
| 主な症状・状況 | 相談先の例 |
|---|---|
| 便秘の原因が分からない、長く続く | 内科・消化器内科 |
| 血便、肛門の痛み、痔が疑われる | 肛門科・大腸肛門外科 |
| 便意はあるのに出口で出ない | 消化器内科・大腸肛門外科・便秘外来 |
| 腟のふくらみ、腟側を押すと便が出る | 婦人科・女性泌尿器科・ウロギネコロジー |
| 妊娠中・産後 | かかりつけの産婦人科 |
| 乳幼児・子ども | 小児科・小児消化器科 |
| 薬を飲み始めてから便秘になった | 処方した医師・薬剤師 |
内科・消化器内科が向いている症状
- 便が硬い、回数が少ない
- 強くいきむ、残便感がある
- 腹部膨満や腹痛を伴う
- 便秘と下痢を繰り返す
- 市販薬を使っても改善しない
- 便秘薬の量や回数が増えている
- 甲状腺疾患、糖尿病など持病との関係が心配
腹痛と便秘・下痢を繰り返す場合は、過敏性腸症候群(IBS)なども含めて評価します。
肛門科・大腸肛門外科が向いている症状
- 排便時に肛門が痛む
- トイレットペーパーや便に血が付く
- 肛門から何かが出る
- 便意はあるのに出口で詰まる
- 指で便を出すことがある
- 便やガスが漏れる
痔だけでなく、直腸脱や出口型便秘なども診療対象です。血便を自己判断で「痔だろう」と決めつけないことが重要です。
婦人科・ウロギネコロジーが向いている症状
- 腟の中や入口にふくらみがある
- 排便時に腟壁や会陰を押すと出やすい
- 出産後や閉経後に排便しにくくなった
- 子宮脱や膀胱瘤を指摘された
- 尿漏れ、排尿困難もある
直腸瘤などの骨盤臓器脱が関係することがあります。排便症状が強い場合は、大腸肛門外科と連携して診療することもあります。
妊娠中・授乳中は産婦人科へ相談
妊娠中はホルモン変化、子宮による圧迫、鉄剤などが便秘に関係することがあります。市販薬や漢方薬も、妊娠中に自由に使えるとは限りません。まず健診を受けている産婦人科へ相談してください。
授乳中も、薬の成分によって注意点が異なります。自己判断で服用・中止せず、医師または薬剤師に確認します。
子どもの便秘は小児科へ
子どもの便秘は、痛い排便をきっかけに便を我慢し、さらに便が硬くなる悪循環が起こりやすいのが特徴です。排便回数だけでなく、便の硬さ、痛み、便を我慢する姿勢、便漏れなどを確認します。
乳児、成長不良、嘔吐、強い腹部膨満、血便、出生直後からの便秘などがある場合は早めに小児科へ相談してください。
便秘外来とは
便秘外来は、慢性便秘症を専門的に診療する外来です。一般的な内科診療に加えて、大腸通過時間検査、肛門直腸内圧検査、バルーン排出検査、排便造影検査などへ対応している施設があります。
ただし、最初から便秘外来でなければ診てもらえないわけではありません。まず近くの内科・消化器内科で相談し、必要に応じて紹介を受けられます。
救急受診を考える症状
- 突然の強い腹痛、または痛みが続く
- 繰り返す嘔吐
- お腹が急に大きく張る
- 便もガスも出ない
- 大量の出血、黒いタール状の便
- 意識がぼんやりする、冷や汗、著しい脱力
腸閉塞や消化管出血など、急いで評価が必要な状態の可能性があります。夜間・休日は救急相談窓口や救急外来を利用してください。
通常の外来を早めに受診したい目安
- 便秘が長く続く、次第に悪化している
- 市販薬を添付文書どおり使っても改善しない
- 血便や貧血がある
- 意図しない体重減少がある
- 50歳以降に急に便通が変わった
- 大腸がんや炎症性腸疾患の家族歴がある
- 便秘で仕事、学校、睡眠に支障が出ている
「何日出なければ受診」という日数だけでは判断できません。詳しくは便秘の症状と受診目安をご覧ください。
病院へ持っていくと役立つもの
- お薬手帳
- 使用中の市販薬・サプリメントの箱や写真
- 1~2週間の排便記録
- 便の形、腹痛、出血などの記録
- 過去の検査結果や紹介状
便の写真をスマートフォンで記録しておく方法もあります。診察時に見せられるよう、他人に見られない場所へ保管してください。
病院ではどんな診察・治療をする?
問診と腹部診察、必要に応じた直腸診を行い、症状に応じて血液検査、便検査、大腸内視鏡検査、排便機能検査などを選びます。全員が同じ検査を受けるわけではありません。
詳しい流れは病院の便秘治療で解説しています。
よくある質問
便秘だけで病院へ行ってもよいですか?
問題ありません。便秘は生活の質を下げるだけでなく、薬や病気、排便機能の問題が関係することもあります。
女性でも肛門科を受診できますか?
受診できます。女性医師や女性専用時間を設けている施設もあるため、気になる場合は予約前に確認してください。
紹介状は必要ですか?
地域の診療所では通常不要です。大病院や専門外来は紹介状・予約が必要な場合があるため、公式サイトを確認します。
受診前に便秘薬を中止すべきですか?
自己判断で中止せず、普段どおりの使用状況を記録して医師へ伝えてください。検査前に中止が必要な場合は医療機関から指示があります。
まとめ
便秘で診療科に迷ったら、まず内科または消化器内科へ相談できます。肛門症状は肛門科・大腸肛門外科、腟のふくらみは婦人科・ウロギネコロジー、子どもは小児科が目安です。強い腹痛、嘔吐、急な膨満、便もガスも出ない場合は、通常外来を待たず救急受診を検討してください。
参考文献
- 日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023」発刊のお知らせ
- NIDDK「Diagnosis of Constipation」
- NIDDK「Treatment for Constipation」
- ACOG「Pelvic Support Problems」
最終確認:2026年8月9日。本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や緊急性を判断するものではありません。


